原発の要否
たぶんしばゆーさんとこから来る人が多いんだろうな、と思って、一応俺の考えをメモ。あくまで「俺の」考えね。
高速増殖炉について
ウラン資源にも限りがあることを考えると、俺はあってもいいと思うけど、この辺はリスク&ベネフィットをどう考えるかの問題。いろいろ思うところがあるけど、今回の本質ではないので、割愛します。
もちろん、しばゆーさんのご主張の本質が「高速増殖炉いらねんじゃね?」であって、そもそも原子力以外の道も考えても良くね?ってのはあくまで補追だろうな、ってことくらいは分かってます。
原発は要るの?要らないの?
俺の考えとしては、明らかに(ベネフィット)>>(リスク)なので、必要です。もっと言えば、必要悪です。交通事故で年間何千人(ちょっと昔だったら1万人以上)が亡くなってるのに、自動車の使用が禁止されないことと、本質的には同じです。
じゃあなんで要るの?
答は単純で、日本の電力供給の3割、関東地方に至っては、柏崎刈羽が地震で止まる前には4割を占める原子力発電をやめるにしても、他に供給手段がないからです。
原発いらん、という主張は良く見るけど、代替手段がある、という現実的な主張は見たことがありません。
原発なくても生活できるか検証したのか?って主張は、2つの点で問題があります。1点目は、それは本来原発がいらん、と主張する人が「なくても行ける」と検証すべき点であること、2点目は、そもそも「ないとダメ」ってのは悪魔の証明であって原理的に検証できないこと、です。
一方で
「分からない」「怖い」「気持ち悪い」って理屈はよーく分かります。ノートパソコンや携帯電話に乗ってるリチウムイオン電池も、取り扱いを間違えたら爆発しますよ?そんなもん膝に乗せたり胸ポケットに入れたりして大丈夫ですか?
お前は家の近くに原発がないからそんなこと言えるんだ、という方もいらっしゃるでしょう。これも本質的には「お前は交通事故に遭ったことがないから自動車なんかに乗るんだ」という主張となんら変わりません。
要するに、怖い、気持ち悪いという感情を、「だから要らない」に短絡的に結びつけちゃいかん、ということです。
こうやって代替できるじゃん!
という人のために。
- 火力発電
- 化石燃料はあと数十年で枯渇すると言われています。まして、京都議定書の温暖化効果ガス排出量マイナス6%の目標はどうやって達成するんでしょう?
- 水力発電
- ダムの建設も壮大なる環境破壊です。コスト面で見ても、もう経済的に見合う場所には概ね作られちゃいました。あとはどんどんコスト高になるだけです。次はどこの村を沈めろと?と言ってる人もいましたね。蓋し名言。
- 地熱発電
- おおー、良いアイディアですね。確かに資源は豊富です。その代わり、日本中から温泉が消えるかもしれませんよ?昔ながらの温泉地の皆さんにどうやって生きていっていただきましょうか?温泉療養をどうやって代替しましょうか?(温泉が無ければ、お湯沸かすのにもエネルギーが要りますね)
- 太陽光発電
- コストベースで小売電力料金の倍で、しかも昼間しか発電しませんなあ。夜はどうしましょう?ちなみに、出力ベース(発電量ではありません)で原子力発電所1基分を代替しようと思ったら、山手線の内側と同じくらいの面積に敷き詰める必要があります。そして、原発の設備利用率60〜70%に比して、太陽光発電のそれは約12%*1。
- 風力発電
- コストベースでほぼ小売料金とトントンな上に、まさに風任せの発電。しかも低周波騒音被害を訴える人続出中。人里離れた山の上に作ったら?送電線引くコストがナンボかかるんでしょう…。
- バイオマス
- そうでなくても林業はコストが見合わなくて苦労してるのに、この上山から木を降ろして来いと?大量に?太陽光発電どころのコストじゃありませんよね…。まして忘れちゃいけない、山から木を降ろしてくるのにもエネルギーが要ります。
- 国民の省エネ努力!
- これが一番荒唐無稽で、京都議定書の目標を達成しましょう!とあんだけ官民挙げたキャンペーンが行われていたのに、結局省エネ努力をしたのは産業界だけで、家庭も業務(オフィスとかコンビニとか)からの排出量(≒エネルギー使用量)は右肩上がり(家庭について言えば、世帯当たりでは減ってるけど、世帯当たりの人数が減ってるので、一人当たりでは増加してます)。強制的な手法でも使わないと無理でしょ。最大のエネルギー消費要因である、エアコンの使用でも禁止しますか?夏には死人出るで、普通に。
というわけで
怖い分からない危ない、と言うてるだけでは、何の解決にもなりません。どなたか、現実的な代替案を教えてください。喜んで支援します。いつでも原発不要派に転向します。
追記:リンクを辿って来た方向けに
続、として、30日付のエントリでも自分の思いを記載してあります。そちらも合わせてお読み下さいませ。
*1:水道に例えると、「出力」は蛇口の太さで、「発電量」はその蛇口から出てきた水の量。蛇口を最大に開いて24時間水を出し続けた場合に出てくる水の量を100%とした場合に、実際に出てきた水の量がどれだけだったか、というのが「設備利用率」。